マンガばっかり

マンガ批評

監獄学園

平本アキラの学園バトル漫画。
wikipediaによれば「エロスとバイオレンスと、人間賛歌と女性の強さ」を描きたい人なのだというのだが、そういうマンガであった。
ドラマ化やアニメ化もされたようだが、本当にエロスとバイオレンスの漫画であり、リアリティもないし、エロも、せっかく絵が上手いにもかかわらず、真に迫らないものであった。
胸がデカイのは男子の夢なのかもしれないが、ほぼ怪物でしかないし…
褒めるべきなのは、徹底してエロく、バカバカしいが、それを友情だの人間性だのということでほめたたえようとしていないところか?
こんな漫画が28巻も続いてしまうのだから困ったものである。

(No.1163)

春待つ僕ら

★★★★

あなしん、による少女マンガ。
友達のいない女子が、なぜかイケメンのバスケ部員と仲よくなって、リア充ライフを送る話。
主人公・美月は子供の頃、人間関係に悩まされた経験があり、そこから立ち直るきっかけを与えてくれた「あやちゃん」という存在があるのだが、高校生になってふっとアメリカから戻ってきた「あやちゃん」は実は男性で、高校バスケ界のスターになっていた…
イケメン軍団の一人である朝倉永久と、だんだん美月は接近していくのだが、そこにあやちゃんが猛プッシュ。
美月も、自分の恩人であるあやちゃんのプッシュを断り切れないところがあり、そこが読みどころになっている。
まだ完結していない11巻まで読んだのみだが、その段階で美月は永久を選ぶ決断をしている。
自分のことを100%たよってくれ、という男らしく、また、事実、頼りがいのありそうなあやちゃんではなく、少々天然で危ういところもある永久を選ぶのだが、それは美月が一人の人間としてしっかりと生きていきたい、という重いが背景となっており、それはあやちゃんも納得するのだが、読んでいても、うん、まぁね、と思えた。
イケメンに囲まれてちやほやされるだけの漫画かと思っていたが、それだけではないよ、という作品であった。

(No.1162)

乙女怪獣キャラメリゼ

★★★

蒼木スピカによる変なマンガ。
女子高生が、どういう奇病なのか、怪獣に変化していってしまうという話。
クラスでは友人などのできるはずもなく、ただメンヘラの痛い子だと思われているだけだが、学年人気ナンバーワンの南君とは少しずつ接近していって、怪獣になっていったりならなかったり…
バカバカしいにもほどがあるが、バカバカしいことが起こるのが世の中であれば、そこから逆にリアルもあるかな、というような実験的ラブコメなのだと思う。
Good Job!

(No.1161)

コレットは死ぬことにした

★★

幸村アルトの作品。
少女マンガにして、これかい、と思うようなタイトルがいいと思う。
そこで苦手な白泉社のマンガだが頑張って読もうとした。
しかし、読み始めてみると、うん、いいとは思う。
がんばりやさんの薬師コレットが、ふらふらっと井戸に飛び込み、その先では闇の帝王であるハデスとめぐり合い、以降はハデスの私設医師になっていく…
もちろんハデスは単に王様だというだけでなくて若いイケメン。
コレットの天真爛漫さ、まっすぐさに惹かれて、ハデスはどんどん惹かれていく…
もう、1話を読むだけでどういう方向に話が進むのかは分かるし、コレットが一生懸命ないい子だというのもわかる。
そこにデュオニソスやらアポロンといったサブキャラも登場して…
どこがそんなにむかつくのかというと、コレットが本当にいい子で、最高の理想とも言うべき相手に巡り合うところ!
こういう万全な幸せ満開なところ、どうにも堪えられないな。
5巻までは頑張った…

(No.1160)

ダイヤのA actⅡ

★★★★

寺嶋裕二の人気マンガのactⅡ。
47巻にもなるactⅠを読んでいるからもういいかと思っていたが、どうせなら、ということで読み始めた。
悪くないなと思う。
さすがに高校野球部卒の作者だけあって、なるほどなと思える臨場感。
思えば新設校だったり、女子部員がいたり、金で出場をものにしようとしたり、近年の野球マンガは敢えて王道的な路線から離れながら甲子園を目指す漫画が多かった気もする。
しかし、ここでは19連勝の記録を更新するような野球名門校が舞台で、全国から集まった野球少年たちが「なんとか2軍に上がりたい」などと思いながら合宿所で過ごすようなマンガである。
当然のことながらも、弱小校が甲子園出場を目指すのとは、また別のプレッシャーの中で高校生活を送るわけであり、それはそれでいろいろな苦労もあろう。
そんなあたりが自然にわかるマンガである。
しかし、現代のマンガらしく、根性やら特訓で、必ずしも栄冠をつかめるわけではなく、監督は選手たちとの交換日記(?)に目を通し、コメントを一つ一つにつけながら、メンタルでも鍛えていこうとしていたり…
おそらくそれが今日の野球部なのだろう。
こんな野球部は、おそらく世界中にあまりないような気もするのだが、それはそれとして、地道ながらも、新しい野球マンガを描いているように思う。


しかし、2020年は春のセンバツが流れたのはともかく、夏に向けての地区予選はもちろん、甲子園の本戦もなくなると思う。
もちろん、それは当然のことなのだろうが、野球だけに命を懸けてきた子たちには辛かろう…
プロ入りすることもできないし、プロ野球さえ、今期の開催がゼロとなれば、身売りする球団も出てくるかもしれないな。

(No.1159)

世界で一番早い春

★★★★★

川端志季のマンガ。
マンガ部員であった売れっ子マンガ家が、実は自分のヒット作が先輩のノートの忠実な漫画化に過ぎなかったことを暴露。
先輩はデビュー直後に心臓病で死去。
そのかわりにマンガを描いたのだった。
と、いきなりタイムスリップして、あの日の先輩と再会。
そしてなんとか先輩に「自分のヒット作」を書いてもらおうと奮闘するというストーリー。
まだ1巻を読んだだけだが、漫画家マンガ、タイムスリップ、まどマギ的な複数回タイムスリップ… と、どこかで読んだものの再現が続く。
しかし、そんなことは、まぁ、小さなことだよな、と思えるマンガだと思う。

(No.1158)

 

オオカミ少女と黒王子

★★★

八田鮎子の少女漫画。
見栄を張るためにこれが自分の彼氏だと言って街角で撮ったイケメンの写真を見せたところ、なんとそれが同じ学校の生徒だった…
そこから偽装カップルを演じてもらうのと引き換えにウソつき少女とドSイケメンの関係が始まる。
まぁ、そんな感じの話なのだが、連載1回めで、もう既にこの関係がホンモノのカップルになるのが見え見えで、事実、そうなるのだが、16巻まで、なんとか読み続けることができたのは、ドSなふるまいしかできない佐田くんが、両親の離婚、家に戻ってこない父親との二人暮らし… というあたりから人間関係をうまくすすめることができず、異様なコミュ障になってしまったためのツンデレであったことが判明。
そんなことからオオカミ少女が、人の噂や見栄を気にすることなく、自分の力で生きていくきっかけをつかむマンガであると同時に、イケメンなだけのコミュ障少年のリハビリ物語としても読むことができる。
そこが、いかにもマンガっぽい設定というだけで終わらずに16巻をなんとか完結させられている理由なのだと思う。
はいはい、もちろんライバルが登場し、自分が好きな男子も登場、修学旅行に、家での勉強会、学園祭という高校ラブストーリーの定番をフルコースで演じてますけどね。

(No.1157)