マンガばっかり

マンガ批評

スキップとローファー

★★★★★

高松美咲のラブコメ
『このマンガがすごい! 2020』で知った作品。
オトコ編の7位らしいが、作家も女性だし、主人公も女性だし、もうこれは「りぼん」に連載されてもいいような作品だとも思う。
イナカ出身の秀才少女、しかし運動神経ナシでちょっと常識なしが、都会育ちのイケメンで元子役俳優の男子と、ドキドキする話。
出て来る人々がわりにリアルで、そしていい気持になって読めるマンガ。
日頃、SNSで悲観的な記事を読んではコメントしたりリツイートしたりしているのだが、悲観的に生きたいわけではなく、平和な生活がしたいからなのです!

(No.1177)

夢中さ、きみに。

★★★★

和山やま、によるマンガ。
実際にこんな人はいないかもしれないけれど、いるかもしれないという高校生群像。
リアル漫画というよりは長めの4コマ漫画だろうか。
『このマンガがすごい! 2020』でオンナ編の2位にランキングされていたという作品。
こういうものを2位にする日本てスゴイ、こういうマンガを届ける作家がいる日本ってスゴイ。
日本スゴイ本や日本スゴイテレビが嫌いなのだけれど、こういうマンガに出会い、それらが好評価される時だけは、ネトウヨっぽく日本万歳と言いたくなります。

(No.1176)

お天気お姉さん

安達哲のマンガ。
バカ姉弟』が変におもしろかったので、その前に描いていたという本書を読んだのだが、がっかり。
1990年代初頭のギャグ漫画を、30年後に読んでまともに批評するなと言われるかもしれないが、やはり面白いとは思えない。
こういう極端なお姉さん、いたらおもしろいということなのかもしれないが、いないし、いたところで不快なだけ。
もう少し巧妙に企むのならば面白いのだが、リアリティがなさすぎるとバカギャグでさえ響かないのだな…
と思ったけれども、OVAやVシネ、武井咲主演でテレビドラマまであったそうな。
うーん、わかりません。

(No.1175)

散歩もの

★★★★

久住昌之谷口ジローという『孤独のグルメ』の名コンビが「通販生活」に連載していた短編集。
全8話と、意外に短いが、たしかに「通販生活」が毎季とどいているのに気づかなかった…
とてもおもしろい、というものではないし、「孤独のグルメ」ほどにエッジが聞いておらず、またストーリー性も弱いこともあって、大きなインパクトはなかったのかもしれない。
しかし、そういうことは、わりとどうでもいいことであって、やはり佳作である、というべきなのだろう。
散歩はガイドを見たらダメ、道草を食う、段取りをふまない… というのは至言だ。
…などというのも、大声でいうようなことではない。
散歩というのは、おもしろいというか、まぁ、人生そのもののような醍醐味というか、おもしろさとつまらなさがある。
そういう散歩=人生をふんわりと感じさせる作品だったと思う。

(No.1174)

バカ姉弟

★★★★★

安達哲による姉弟マンガ。
バカとは言われているけれど、バカというよりも天才姉弟なのか…
不条理にしては条理であり、どういう展開になるのかなかなか読めず、面白いと思う時もあれば、なにがどう面白いのか、何のつもりなのかわからない回もあるという不思議なマンガ。
地主おねいが、5巻末ではあんなになるとは…
アニメにもなっているらしいが、よく企画通ったよなぁ~

(No.1173)

ザ・ファブル

★★★★★

南勝久のマンガ。
伝説の殺し屋が1年間休業して大阪で「妹」と暮らすうち、仕事を忘れようとしても、どうしても物騒な案件が持ち上がってくる… といった話。
ヤクザの冷酷無残な世界を描きながら、殺し屋・ファブルや「妹」ヨウコの生い立ちや人間性も見え隠れし、ギャグや人情も無理なく織り込んだいいマンガだと思う。
主人公が本当に強く、しかし、休暇中に、なんとかして「普通の人」として生きていく道を学ぼうとする真面目さは、マッチョなだけのマンガとは一線を画しており、新しい境地を開いているように思った。
映画がヒットしている、ということだけれど、まぁ、そりゃそうだわな…
今、一番展開が気になるマンガのうちの一つ!

(No.1172)

センセイ君主


★★★

幸田もも子による先生と生徒の恋愛もの。
先生と女子高生の恋愛ものというのは、どうも苦手んだんよなぁ(じゃ、読むなよ)。
人目を忍んで愛を培うはずなのに、妙に大胆過ぎ、周囲も気が付かなさすぎ… というものが多く、また、先日読んだ『さくらと先生』では、そういうお約束を崩すかのようなまっとうなマンガで、先生と生徒で思いは通じていながらも卒業まではそれを隠すということが守られていた。
しかし、それはそれで、じゃぁ普通に恋愛話を描いた方がいいんじゃないか、などとも思わせた。
このマンガは、大胆過ぎる方のパターン。
イケメンでドライな東大卒の数学教師に、思いばかりが先行してしまう佐丸あゆは。
全13巻の物語が始まるとすぐに付き合うことになり、そこからは例によって文化祭があり、ライバルやらサブキャラやらが現れる展開なのだが、幸田マンガらしくあゆはがゴルゴになったり、往年の少女マンガの主人公になったりで、けっこう笑わせられた。
13巻末にある作者ページでは「私は最初あゆはと先生が苦手でした」というまさかの告白!
しかし、描いていくにつれどのキャラよりも好きな2人になったとのこと。
たしかにそれは読んでいても実感できた。
ただ頭がいいイケメンと未熟なだけの女子高生だったのが、それなりに自分自身を見つめ、自分が今どうするべきかを考え、それぞれが相手の理想に近づけるように努力を重ね、より高いレベルで卒業(そして結婚)を迎えているからだ。
しかし、それにしたって先生と女子高生ものは… という思いは最後まで消えなかったけどね。

(No.1171)