マンガばっかり

マンガ批評

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笑う大天使

★★★★川原泉が1987年の「花とゆめ」に連載した代表作。どうもギャグやユーモアがぬるくて、恥ずかしい。20年前というのは、そもそも、そういう感じのするものなのだけれど…いかにも少女マンガ風のあり得ない設定だが、それなりにスリルとサスペンスが、冒険と…

青い花

★★★★★志村貴子によるオトメのためのマンガ。たしかに帯には「ガール・ミーツ・ガール」と書いてはある。しかし、ほんとにそういう話だとは思わなかった… こういうことがどれくらい日常なのか、なんともわからないのだが、女子高生同士が「付き合う」のってい…

ルナティック雑技団

★★★★★岡田あーみんはスゴイ!、最強!という声をよく耳にしていたけれど、「お父さんは心配症」だけを読んでいた者にとって、どこに新しさがあるんだろうかと内心思っていた。思い立って読み始めた最終作品(?)であるが、なんとも頭悪すぎてオモシロイ。今…

4ジゲン

★★★★★にざかなによるギャグ・マンガ。「このマンガがすごい」で上位にランキングされていたので知った本。LaLaに数ページずつ連載中というものなので、そりゃぁ、なかなか目につくものではない。作者は兄「にざ」と妹「かな」のビミョウな呼吸による合作…

東西奇ッ怪紳士録

★★★★水木しげるといえば、そりゃ、妖怪マンガである。しかし、それは妖怪マンガの大ヒットが彼を妖怪漫画家に仕立てただけなのではないかと自伝的マンガを読んで思ったのだが、本書の後書きで呉智英もそう指摘していた。なぁんだ、そう思ってる人もいたんだ…

真説ザ・ワールド・イズ・マイン

★★★新井英樹の大長編叙事詩。インタビューにもあるように新井が残虐だけを描きたくてこのマンガを描いていないのはよく分かる。倫理的すぎて残虐になっているのだということもわかるし、よく調査しているのも立派だと思う。ただ、登場人物が類型的すぎると思…

快感・フレーズ

★★★新條まゆが少コミに連載し、性描写の多さから問題視されたコミック。アニメ化されるも、エロい原作とはだいぶかけはなれていたという…しかし、辛抱強く全巻を読み通して思うのは、「まぁ、悪くないんじゃない?」。70年代の少女マンガ全盛時代には憧れ…

キャンディ・キャンディ

★★★★★いがらしゆみこ画、水木杏子原作の超有名マンガ。しかし、著作権は原作者にあるのかマンガ家にあるのか… ということで決着がつくことなく(裁判としては決着がついているのだけれど)今にいたり、名作の誉れが高いながらもマンガが店に並ぶことも、アニ…

グーグーだって猫である

★★★★大島弓子がサバの後に飼った猫たちの話。連続して読み通すのではなく、気長に気長に連載されるのを追いかけていくというのがいいペースじゃないかと思う。大島女史のガン手術とその後の抗ガン剤治療生活やら新居への引っ越しの話などなども含めながら、…

ゆめの底

★★★★岩岡ヤスエが同人誌で地道に刊行をつづけていた創作の単行本。平成18年度文化庁メディア芸術祭審査員にも推薦されたらしい。人々が見る夢の底には、思いを果たすことなく現実世界を後にした人々が集まる場所があり、ひょんなことからその世界に舞い込み…

神聖喜劇

★★★★★原作・大西巨人、企画・脚色・岩田和博、漫画・のぞゑのぶひさによる今年度の手塚治虫文化賞の新生賞受賞作品。これを読み通した人は少ないと思う。漫画でありながら、圧倒的な文字量と漢字量。ほとんどが1巻の途中あたりで断念すると思う。漫画として…

メイプル戦記

★★川原泉による「甲子園の空に笑え」の続編にあたる野球マンガ。今度は女性のみのプロ野球団がセリーグで優勝してしまうというもの。右バッターであるはずの仁科(妻)が左打席に入っているというミスを見つけたけれど、そのほかはさすがにカーラ教授だけあ…

女の子の食卓

★★★★★志村志保子が「Cookie」に連載しているマンガ。食べ物をテーマにした連作。妙にグルメなわけでも、B級なわけでもなく、要するに日常の食べ物が主人公である。考えてみれば、食べ物というのは、誰かと食べることが多く、1人で食べているときでもその人…

Cloth Road

★★脚本・倉田英之、漫画・okamaによるウルトラ・ジャンプ連載作品。「コンピュータと洋服が一体化したとき、世界はデザイナーとモデルが支配する」というコピーで、あぁ、けっこうそういうのアリかも… と思った。が、読み始めてみれば、結局コンピュータやフ…

レナード現象には理由がある

★★★★★川原泉による2006年の作品集。あらゆる知識を貪欲に取り入れ、しかし、それを変にペダンチックにではなく披露し、脱力系のギャグの中にも向日性の見える佳作。固定的な川原ファンに訴えるだけでなく、新しい時代の読者たちをも取り込もうとしているかに…

ヘウレーカ

★★★★岩明均の1巻本。寄生獣、ヒストリエと読み進んできた読者には、ずいぶん小さくまとまってしまっているなと思われる小篇だが、2002年の作品だというから、ちょうど2作品を繋ぐものだと思えば理解しやすい。怪奇もの(スプラッター?)と歴史物のち…

夢を見るヒマもない

★★★山田ユギの飛行機マニアBL。この人のBLは他とは違うんです! というオススメを幾人かの人から受けたので読んでみた。彼女たちの言いたいことは分かった気がする。舞台は航空高校から航空業界へ… という飛行機マニアの世界。男だけの寮生活がどのよう…

夏の名残りのばら

★★藤たまきが2004年までCharaに連載していたヴァイオリン職人とヴァイオリニストの物語。泣けますよ〜ということで借りてきたのだが、私はこれを評価できなかった。「北米の片田舎」によい木を求めてヴァイオリン職人が移り住んできた… まぁ、いいと思う。し…

るろうに剣心

★★★和月伸宏がジャンプに連載していた全28巻の歴史もの。ファンレターはほとんど女性からだった、というのも納得できる少女マンガ絵。歴史をそれなりに踏まえ、しかし、あくまで剣心はヒーローでメチャ強い。そしていつでも正義の味方なのだけれども人を殺…

チェーザレ

★★★★★惣領冬実のルネッサンスを描いたマンガ。評判がいいのは知っていたけれど、ちょっと値段も高いし、という理由で敬遠していた。ついに手にしてみると、やっぱり傑作!史実や風俗、建築や衣装がどれくらい忠実に再現されているのか、私に分かるわけもない…

素晴らしい世界

★★★★浅野いにおの「月刊サンデーGX」読み切り連載。なかなかいいと思う。「素晴らしい」という語を、或る時は皮肉に、でも或る時はストレートに使いながら、現代世界のさまざま(時に現代世界を超越した存在も出てくるけれど…)が描かれていたと思う。ヒドイ…

少年少女ロマンス

★★★★ジョージ朝倉の初連載マンガ。「溺れるナイフ」の方を先に読んでしまっているので、う〜ん、という気は否めない。お姫様願望がマジで強いパワフルでエキセントリックな蘭ちゃんの元に、王子様の右京が現れるのだが、なんせ異様に照れ屋なので、ついつい…

ひかりのまち

★★★最近、注目をあびることの多い浅野いにおのマンガ。とても健康的でさわやかでマイホームチックな「ひかりのまち」なる新興住宅地には、さまざまな影のドラマがあるのだった…しかし、これって、あまりにも使い古された手法ではないだろうか。影のドラマな…

土星マンション

★★★★岩岡ヒサエが2006年から「ikki」に連載しているマンガ。未来ものにしては妙にレトロで、時代を未来に設定する意味があったのか… と思うようなマンガだけれど、『ルサンチマン』の設定で、2015年が意外にフツーであったように、案外、人間の生活というの…

1限めはやる気の民法

★★★★よしながふみが、今は無きBL系出版物で有名だったビブロス社の雑誌「BE×BOY」に90年代に分載したもので構成された1巻と、同人誌に分載したもので構成された2巻。舞台となっている「帝能義塾大学ア法学部」が、どうもどこだかの大学と似ているな…

家族のそれから

★★★ひぐちアサが講談社に投稿したホモ高校生を描く「ゆくところ」と、初めての連載である「家族のそれから」を収めた最初のコミック。「ゆくところ」は、絵もうまいとは思えず、内容もビミョウなBLものでしかなく、もしも私が編集担当者であったら、とても…

きせかえユカちゃん

★★★★★東村アキコの人気マンガ。今、イチオシのマンガは何か? と聞かれて、「きせかえユカちゃん」の名前をあげる人は少ないと思う。しかし、例えばクッキーの読者に「ユカちゃん好き?」と聞いたら、おそらく同じ雑誌に連載されている「NANA」以上に「…

ぼく、オタリーマン。

★★★★現役SEのよしたにによるサラリーマンマンガ。20代のサラリーマンたちが、どんな風に日々を過ごしているのかが描かれていて興味深いと思う。考えてみれば、新聞等に連載されているサラリーマンの日常の悲喜劇を描いたマンガは、アサッテ君やらこぼちゃ…

再びおおきく振りかぶって&再びフラワーオブライフ

★★★★★私が最も注目しているマンガ家であるひぐちアサとよしながふみの作品。この度「おお振り」を8巻まで読んだ。優勝候補との戦いが中心だが、本当にすばらしいと思う。スポ根マンガ、野球マンガは数々あるが、今後「おおふり前後」で漫画史の記述は大きく…

ヤサシイワタシ

★★★★ひぐちアサが2001年から「アフタヌーン」で連載した大学リアル漫画。舞台になっているのは著者が在学していた法政大学(の写真部)。ひぐちは漫画研究会に所属してたので、クラブの中身までモデルになっているとは思えないが、クラブハウスの風景など、…