マンガばっかり

マンガ批評

けむたい姉とずるい妹

★★★★★ ばったん、が現在連載しているマンガ。姉のものをなんでもほしがって手に入れてしまうズルイ妹は、姉の恋人も横取りし… という話。こういうのって、あんまり好きじゃないんだよなぁ、と思いながらも購入して読んだわけだが、おもしろすぎた。なるほど…

39歳の免許合宿

★★★★★ ごめたん、による実話マンガ。吉本の芸人・五明拓弥(ごめたん)が友人のミュージシャンimaiと共に某地方都市の合宿免許に参加するという話。自分が免許を取った時も、「あぁ、世の中にクルマというのはたくさん走っているけれど、それはみんな修了検…

地元最高!

★★★ UsagiによるTwitter連載漫画。なぜ買ったのか、記憶があいまいなのだが、帯によれば「フォロワー数16万人Twitterで話題の激ヤバ漫画!」なのだそうだ。まぁ、そういう人気は分かる。地元の先輩に誘われ、ついには断り切れず、いつしかクスリを売ったり、…

女の子がいる場所は

★★★ やまじえびね、による世界中の「女の子」が感じたこの世の中の不可解さをめぐる短編集。これも『このマンガがすごい! 2323』のオンナ編で上位にランクインしていた作品。女性の立場、生き方についてのマンガが多くランクインした年だが、これは、フェミ…

緑の歌

★★★★★ 高妍(1996年台北市生まれ)という女性漫画家による中編。細野晴臣の楽曲に惹かれ、台湾の日常から憧れの日本に想いを馳せる大学生・緑の物語。村上春樹が「猫を棄てる」のイラストレーターとして抜擢したことでも知られる画力の持ち主だが、それだけ…

ジーンブライド

★★★ 高野ひと深、が現在連載しているマンガ。これも『このマンガがすごい! 2023』のオンナ編の2位にランクインした作品で、鼻の下を伸ばした中年男へ「うんこたれ」とコメントされることから始まるフェミ度の高い作品。高野は30歳のOLと12歳の少年の交流を…

恋じゃねえから

★★★★★ 渡辺ペコのマンガ。「恋じゃねえから」というのは、男言葉(言い方古いな)なので、男性のセリフなのかと思ったが、そういうわけではないらしい。40歳の主婦・茜が中学校時代の塾の先生が彫刻家として有名になり、作品を見に行くと、親友だった紫をモ…

星旅少年

★★★★ 坂月さかな、のマンガ。『このマンガがすごい! 2023』のオンナ編5位ということから読んでみた。パイコミックスにてWEB連載中なのだというが、『このマンガがすごい』で取り上げられることがなければ目に入らなかっただろう。星から星を旅する少年…

音盤紀行

★★★★ 毛塚了一郎によるレコードにまつわる短編集。それぞれがちょっといい話すぎて、1巻を読んだだけでの感想では、少し甘い感じもするのだが、悪くないと思う。しかし、こういうレトロなものの世界の中で生きていると(過去の文学作品についてあれこれ書い…

天幕のジャドゥーガル

★★★★★ トマトスープによるモンゴル帝国に拉致された奴隷少女の物語。『このマンガがすごい! 2023』のオンナ編のトップにあった作品。どこから見つけてきた話なのかは分からないが、まぁ、この時代ってこうだっただろうな、と思う。バカバカしいほどのことで…

恋とゲバルト

★★★ 細野不二彦による学生運動の時代を舞台としたマンガ。右翼の用心棒として働く新入生・東儀と、左翼の女ヌンチャク使い・美智子の物語。そのヌンチャク使いは部員一人のみの園芸部員だが、東儀はその本性を知らないまま、彼女の雰囲気に惹かれてフラフラ…

ちくまさん

★★★★ 西村ツチカによる筑摩書房の月間広報誌「ちくま」の表紙絵と1ページ分のマンガを3年分(プラスアルファ)を収めたもの。帯には「高野文子さん、感激」ともあったが、そんな感じ。SFというかファンタジーなのだが、どこかリアルでもあるような仕事に…

ひとりでしにたい

★★★★ カレー沢薫のマンガ。憧れだったカッコイイ独身女性だった伯母が風呂でドロドロになって孤独死したことから、35歳の学芸員山口成海が官庁から出向中の年下独身男子・那須と共にこれから確実に老いていく自分とどう向き合っていくのかを考えていくとい…

ダンピアのおいしい冒険

★★★★★ トマトスープによる実在した17世紀イギリスの冒険家であるウィリアム・ダンピアの冒険をたどるマンガ。『このマンガがすごい! 2022』に登場し、同書の2023年にも別の歴史ものマンガ『天幕のジャードゥーガル』がランクインしていた作家だったので、最…

ひかるイン・ザ・ライト!

★★★★★ 松田舞によるアイドル漫画。歌うことが大好きな銭湯の娘・ひかるがアイドルを目指して頑張っていくというストーリー。現在の日本におけるアイドルブーム、押しブームに乗り切れないでいるので、正直、アイドル漫画かぁ、と思いながら読み始めたが、悪…

スーパーの裏でヤニ吸うふたり

★★★★ 地主によるマンガ。毎日スーパーに通っては笑顔の素敵なアルバイト店員と接することだけを生きがいにする中年サラリーマン・佐々木さんが、息抜きにタバコを吸いにスーパーの裏に行くとケバイ姉ちゃんがタバコを吸っている。田山を名乗る彼女は、実は笑…

これ描いて死ね

★★★★★ とよ田みのる、による漫画家マンガ。『このマンガがすごい! 2023』の6位にランキングしたことから知って読んだものだが、「マンガ大賞2023」で大賞を受賞したことで、広く存在が知れ渡ったかもしれない。とよ田みのる、という人が、天才なのは、かね…

正反対な君と僕

★★★ 阿賀沢紅茶によるギャルとマジメ君のギャップ恋愛コメディ。「次に来るマンガ大賞」で第2位、『このマンガがすごい! 2023』で9位など、快進撃を続けているようだが、『自転車屋さんの高橋くん』や『僕の心のヤバいヤツ』のようなギャップものに比べる…

ブスなんて言わないで

★★★★ とあるアラ子、のマンガ。ブスと呼ばれて、高校卒業後は顔を出さずにできる仕事に就いた知子は、或る日、ブスである自分の存在意味を否定する発言をした同級生の美女・梨花が反ルッキズムを訴えている雑誌記事を見て激怒。殺しに行こうと梨花の前でカッ…

僕らが恋をしたのは

★★★★★ オノナツメが現在連載しているマンガ。枯れた男をマンガによく取り上げるオノナツメだが、男だけが4人で山の中に暮らしているところへ1人の謎の熟女が登場し、それぞれの男性たちに彼らにとって理想的な女性を演じ、ますます謎が深まっていくという…

太陽よりも眩しい星

★★★ 河原和音が現在連載中の少女マンガ。いつも自分が守ってやらないといけなかった貧弱男子がイケメンのスポーツマンに成長し、とまどう高身長女子の物語。ベテラン漫画家だけに安定した筆致だし、着眼点もいいと思うが、4巻までくると、まぁ、普通は気づ…

光が死んだ夏

★★★★★ モクモクれん、による不思議な味わいの作品。親友同士の光と佳紀… しかし佳紀は目の前にいる光が、実は光ではない何者かにすり替わっていることに気付いてしまう…光は山の中で遭難死しており、目の前にいる光のような存在は、そのデータだけを再生した…

きみの横顔を見ていた

★★★★ いちのへ瑠美による少女マンガ。一重の女子高生・光と友人の美人女子高生・麻里。そこにムードメーカーで麻里に近づきたい大谷が絡むというもの。自分なんて、と思って、吹奏楽でも恋愛でも、誰かに場所を譲ってしまう光の優柔不断と決断の間で物語が展…

微熱空間

★★★★★ 蒼樹うめ、が連載しているマンガ。親の再婚によって同学年ながらに姉と弟になった二人の距離がだんだん接近していくという物語。亜麻音はまどマギ(蒼樹がキャラデザインを担当していた)のまどかにしか見えないのだが、しかし、どこかまどかっぽいと…

作りたい女と食べたい女

★★★★ ゆざきさかおみ、によるマンガ。とにかく食事を作ることが好きだが、そんなに食べることはできないという女子が、マンションの2室向こうに住んでいる大食女子に食事を振舞うという話。赤の他人であった2人が、徐々に心理的にも接近するのは予想の範囲…

ベルリンうわの空 ランゲシュランゲ

★★★★ 香山哲によるシリーズ3作目。最終作のようである。第1作はベルリンという街で暮らすことになったという最も明るく楽しい話。第2作ではベルリンの人たちと共に活動するという話。そして第3作になると、これまでベルリンで明るくきちんと生きていたと…

さよなら絵梨

★★★★★ 藤本タツキによる短編。『チェンソーマン』の連載をしながら『ルックバック』で世間をアッと言わせ、本作も、そのアッと言わせる第二段といっていいかと思う。『ルックバック』は悪くないが、多少情緒的で、一般にも理解されやすいタイプのマンガだっ…

隣のお姉さんが好き

★★★ 藤近小梅のマンガ。隣に住むハーフの美少女は映画好きで、どうも脚本家をめざしているようだ。中学2年の僕はそんな年上の心愛さんに近づきたくて、毎週水曜日には映画を一緒に見るために心愛さんの部屋に通う…という年下男子の悶々とした日々を描くラブ…

ひらやすみ

★★★★★ 真造圭伍の作品。ネット等で評判が良いので買ってみた。作者については、これまでに『森山中教習所』や『ぼくらのフンカ祭』などを読んでいたので知っていたが、ちょっとガロ系というか、オルタナ系といった感じで、そこまでよいとは思えていなかった…

大邱の夜、ソウルの夜

★★★★★ ソン・アラムの作品。1981年生まれの韓国人漫画家による二人の女性の物語。巻末のあとがきで、作者はこれは自分の話であるより自分がしたかった話だ、と書いている。まぁ、そういうものかなと思う。『82年生まれ、キム・ジヨン』が評判になり、文庫化…