マンガばっかり

マンガ批評

ヒミズ

ヒミズ(1)
★★★★★
『行け!稲中卓球部』 の作者・古谷実のマンガ。
が、これはとてもシビアでシリアスでリアルでギャグはない(あるいは全部がギャグか…)。
自分自身は、このマンガの主人公ほどに悲惨な境遇に育ったわけではないけれど、わかるわかるオレもそうだった… というところがとても多かった。
人間が大人になっていくということ、ことに男の子が男になっていくというのは、ギリギリの綱渡りみたいなところがあって本当にコワイもんだと(自分のことを思い出しても)そう思う。
今は、たまたま「こっち側」で生活しているけれど、どこかでちょっとタイミングがずれていたら「そっち側」に行ってしまったかもなぁ、と…

こういう営業的にはパッとしなそうなマンガが、堂々と連載され、しかも、きちんと評価してくれる読者がいる日本という国は、少なくともマンガにとってはとても有り難い国であると思う。