マンガばっかり

マンガ批評

蟲師

★★★
漆原友紀の妖怪/昆虫マンガ(?)。
高い評価を受けているようだが、個人的にはあまりはまれなかった。
もちろん絵のセンスも認めるし、こんな分野が、こんな描き方があったのか… という驚きもあった。
ただ、人間というものよりも、妖怪/昆虫を描いているというところが、(私の趣味の問題かもしれないが)ひっかかってしまった。
「そんな蟲いねぇよ」で済まされてしまうのではないか、という思いだ。
いいホラーというのは、オバケなり妖怪なり… の存在よりも、そういうものを出現させてしまった「人間のサガ」を見せてくれるものだと思うのだけれど、最後の最後で「人間のサガ」よりも「蟲のサガ」を見せている気がしたのだ。
ファンタジーやオカルトというと、現実離れした世界を描くものだと思われているようだけれど、実は下手な現実モノよりも、ずっとずっとリアルに描き込まないと「名作」にはなれないのだと私は思う。