マンガばっかり

マンガ批評

火の鳥

手塚治虫漫画全集(201)
★★★
今朝、新聞に出ていたTimberlandの広告を見て「?」と思った。
手塚治虫の「火の鳥」とのコラボ商品を作っていたからだ。
なんかちがうんじゃないかなぁ、という気がするけれど…

火の鳥」が手塚の代表作であることは言うまでもないけれど、どうもあまり評価できない。
オンタイムで飛び飛びに読むにはよかったのだけれど、通読してみると、なんとも軽く、浅いのである。
宮崎駿が手塚批判で語っていたように、なにか硬直したヒューマニズムといったものを感じてしまう。
手塚という人は、どうも大作を書かない方がいい人なのではないだろうか。
それは、手塚と同じく、日本を代表する作家である大江健三郎にも通じるところだ。
彼らは大作を書くと、どうも日本の平和だの自然愛護だの愛だの核兵器だのを大まじめに真っ正面から論じすぎて、小学校の道徳の教科書のようになってしまう。
手塚も大江も偉大な作家だとは思っているけれど、その偉大さは、大作よりも、ふわっと書いて、途中でとぎれてしまっているような作品にその天才を感じてしまう。