マンガばっかり

マンガ批評

げんしけん

げんしけん(1)
★★★★★
木尾士目のマンガ。
おたくマンガの本流はこれだろう!
中央大学を舞台に、作者が所属していた(?)筑波大学現代視覚文化研究会での活動をネタにしたもの。
このマンガに5つ星をつけたのは、単に今はやりの「オタク文化」を描いていたからというのではない。
大学のサークルというものが、いかにぼんやりだららんと続くものなのか。
サークルの部屋でとりとめのない話を続ける感じ、サークル・メンバーの家を巡り歩きながら、なんだかだんだん疲れてしまっていく感じ… そういう現代日本のあまりマトモに描かれたことのない、しかし誰もがどこかで経験している雰囲気というものを実にうまく描けていると思ったからだ。
mixi」のコミュに「げんしけん以前の木尾士目を愛する」という内容のコミュがあったけれど、言いたいことは分かる。
でも、「げんしけん」においても一番光っているのは、「げんしけん」以前から引きずっているビンボー・リアリズム、サエナイ・リアリズムといった精神だと思う。
ことに「おたく」からは評価されない5巻以降で、それは顕著になっていると思う。