マンガばっかり

マンガ批評

沈黙の艦隊

沈黙の艦隊(1)
★★★★
かわぐちかいじによる軍事マンガ。
こんなスゴイ漫画があっていいのか、と思って読み進めていったが、だんだん納得できない部分が増幅していった。
アメリカの頑固さ、自己愛の強さは当時としては異様なくらいのこだわりで書いたのだろうけれど、9.11以降のアメリカ、および世界の国々を見てしまった目にはとても甘〜いものに見えてしまう。
アメリカは自分の艦隊から「犠牲者が出た」というだけで、100%「やまと」を攻撃したはずだ。
それは相手が核を持っていようといなかろうと…
そして、アメリカが他国の話を聞こうと耳を傾けることなどは「決して」ない!
アメリカ人は、世界にアメリカ以外の国があることが不思議でたまらないのだ。
アメリカ人じゃない人(存在自体を信じられない)の話など聞けるわけがない!
体制派はもちろん、反体制派でさえ「こんなに反体制でいられるのもアメリカが自由な国だからだぜ」なんて思っていたりする…
もちろん、こんなことを言い出してしまえば、自分の政治家生命どころか命までかけて日本のあり方について考える総理大臣が現れることこそ「絶対にない!」と言わざるをえないところがなんともうとましいかぎりであるけれど。

マンガといよりもほとんど国際政治の批評になってしまった…