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池田理代子による大ロマン。
おそらくは「ベルサイユのばら」では少女マンガ的な誇張があったり、歴史や文化に関する知識が乏しかったりしたことから徹底的に言語や文化、歴史について学んだ末に描いた作品なのだろう。
しかし、本人も最後の少女マンガ(意味はよく分からないが…)と言っているように、これほどの高いクオリティのマンガは、今後の少女マンガには現れない、というか、もう必要とされることはないだろう、という悲しい自覚なのだと思う。
このマンガのクオリティは「アドルフに告ぐ」に匹敵すると思うが、残念ながらそこまでの知名度はない。
もっと広い年齢層、あるいは男性読者でもついてくれればいいのだが、残念ながらそこを押し広げることまではできなかったのだ。
その障壁になったのは、おそらくは「ベルサイユのばら」の大ヒットであろう。
「あんな少女マンガなんか読む気はしない」という声なき声によって、かつての手塚がそうであったような国民的マンガ家となる機会を失ったのだろう。
大ヒットの功罪である…