マンガばっかり

マンガ批評

ドラゴンヘッド

【古本】ドラゴンヘッド 1〜10巻セット
★★★
望月峯太郎による世紀末マンガ。
今にして思えばノストラダムスの大予言に、日本国民はまんまとのせられていたんだなぁという気がする作品。
オウムにしたって、やはりノストラダムスのもたらす雰囲気が影響しているはずだし…
後世の歴史家は「まさか!」と思うかも知れないけれど、ホントなんだ!
そうしたバカバカしい雰囲気をリアルに映し出しているという意味で、これは歴史に残るマンガだと思う。
が、作品自体に関して言えば、富士山が噴火したくらいで日本はここまで争乱状況になるわけがないし、自衛隊の統制が効かなくなるにしても、関西だって九州だって元気なわけである。
いや、東京という中心を失って、いつも以上の元気さを見せるんじゃないだろうか?
なのに著者にとっては東京の破滅が日本の破滅で、東京以外にはマトモな人間なんていないし、組織だって動かしようがない… と思っているようである。
首都壊滅により、人心の不安が爆発する恐れは十分にあり得るが、少なくとも富士山の噴火程度ではそんなことは起こりえない!
地球が壊滅するならともかく、まったく無傷の諸外国が、善意にしろ悪意にしろ、黙って見ているわけがない。
人間心理については鋭い啓示が含まれているように思うが、政治経済、国際社会といった視点から見ると、まったくもってリアリティを欠いていると思う。