マンガばっかり

マンガ批評

アポロの歌

アポロの歌 上・下巻 (COM別冊/雑誌) 手塚治虫
★★★★★
手塚の性教育マンガと言うと「メルモ」と「やけっぱちのマリア」と同じく、必ずといっていいほど名前があがるのがこの作品。
あまり期待せずに読み始めたがとてもいいものだと思った。
性について技術的・科学的に教える性教育というのは、教える側の肝さえ据わっていればなんとかなる。
しかし、じゃぁ、いつ、どんな相手と性交すればいいのかということになると、誰もが口をつぐんでしまう。
ところがこのマンガで、手塚は愛とはどういう気持ちかについて、きちんと向き合おうとしていて、その蛮勇はまことに美しい。
教育基本法を改悪して、愛国心がどうのこうのとほざいている連中がいるけれど、愛とはどういう気持ちなのか、きちんと考えさせようとするこうした試みこそ真に教育的な態度であると思う。