マンガばっかり

マンガ批評

ほうせんか・ぱん

ほうせんか・ぱん
★★★★★
大島弓子が昭和49・50年に『別コミ』等に書いたマンガ。
おそらくは『りぼん』が乙女チック街道を驀進していた頃だと思うが、そんな頃、こんな人たちがこんなマンガを描いていたというのは全くびっくりである。
絵柄に多少古い所はあるにしても(大島弓子の場合、時代性をあまり追求した絵を描かなかったために、いつの時代でも読めるんじゃないかと思う)、今でも十分に通用する実存マンガを描いている。
恋愛モノ、学園モノと言ってしまえば人々にはロマコメのりぼんな世界が思い出されようが、恋愛に至るまでの気持ち、恋愛以外のいろいろな想いについて、あれこれと考える少女がここにいる。
それを奇を衒ったり、怪しげな怪奇幻想趣味に陥ることなく、まっすぐに描こうとしているのが近年の小説やマンガと違ってまことにもって立派である。
大島弓子先生すばらしい!