マンガばっかり

マンガ批評

生徒諸君!


★★★★★
庄司陽子による古典的名著。
今回通読したのは、教師編のTVドラマ化を記念した1000ページ編集版。
新書版24巻のマンガのダイジェスト。
はしょったところはあらすじを書いてあるという親切な本であった。
通読を終えて思うのは、なんとも立派なマンガであったなぁということだ。
ちょっとエキセントリックなまでに自分の持てる力を120%出し切ろうという北城尚子は、転校早々、大騒動を巻き起こしながら悪たれ団と共に学園を、そして自分たち自身をも盛り上げながら、勉強に、恋愛にスポーツに励む。
しかし、そのバイタリティの元は、心身ともに虚弱な双子の姉の方を集中して面倒を見たいという両親の願いから、生後まもなく祖父母の元に預けられ、自分には両親がいないものと思って育てられた屈折からくるものであった。
中学、高校、そして大学と成長し、さまざまな楽しいイベント、そして事件にも出くわすが、尚子は結局、中学校教師として母校に戻ってくる。新任教員として最初に発する言葉が「生徒諸君!」… 
いかにも少女マンガっぽい単純な性格の持ち主が多く、都合のいい偶然、都合の悪い偶然も頻発する。
しかし、そんなことは、まぁ、どうでもいいじゃないかと言えるぐらいに大きな流れがキチンと設定され、単に努力や根性、友情の素晴らしさというだけでは片づかないのだ、というところまでシッカリと描かれているところがよかったと思う。