マンガばっかり

マンガ批評

レッド


★★★★
山本直樹が最末期の赤軍派を描いたマンガ。
ただ、どうにも絶賛はしかねる。
浅間山荘事件をわけがわからないながらに見ていた者としては、ようやくマンガにも描かれるようになったのだなという実感があり、また、細かなディテールも描き漏らすまいとしている山本の鬼気迫る仕事ぶりには打たれるが、こんなことがあったということを知らない世代がここまで増えてしまった現代日本では、ちょっと説明不足なのではないかと思う。
もちろん赤軍派の若者たちは、革命などという妙な思想にかぶれた困った人々ではあったのだが、初めてこれを目にする人には、本当に彼らがバカにしか見えないのではないかということが危惧されるのである。
並行して読んでいる原武史の『滝山コミューン1974』も、「よくぞ言ってくれた!」というべき仕事ではあるのだが、昨今の風潮からしても、1970年代の左翼たちが抱いた夢と希望そのものを、バカサヨだの日凶組だのと安直に批判されたくないのと同じ思いである。
団塊の世代が描いているのならともかく、山本直樹は1960年生まれ。
せめて自分の世代の人間に対してだけでも、もっとアピールする描き方はあったのではないかと思えてならない。