マンガばっかり

マンガ批評

オトメン(乙男)


★★
菅野文による乙女な心をもったイケメン純情スポーツマンの悲喜劇。
なかなかおもしろそうだなぁと思って読み始めてみたのだけれど、2巻、3巻と読み進めるにつれてだんだんアホらしくなってきてしまった。
作品にどれだけありえない世界を描いたっていいと思う。
それがフィクションのよさなのであって、だからSFでも何でも許されるのだ。
でも、ウソをついてはいけない部分というのがあって、それは人間のリアルを描かなければいけないというところ。
あ、いや、登場するのは動物でもいいし、宇宙生物でもウィルスでも死者でも鬼でもいい。
しかし、必ず擬人法的に人間が描かれていなければ、いい作品にはなり得ないと思うのだ。
たしかに、最初は乙女な心を持つ正宗飛鳥という人間が生きていたが、だんだんそれは魂が抜けて、いつまでたっても進化も退化もしないオモチャになっている。
本作は「このマンガがすごい! 2008」で3位に急上昇していたので、気になって読み始めたものだが、来年版では30位以下に落ちると思う。
というのも、同書の2007年版で、人気が急上昇した「デトロイト・メタル・シティ」や「夏目友人帳」が、2008年版では見事に順位が急降下していたからだ。
どちらも最初の設定が面白かっただけで、人間のリアルが全く描かれていなかったからねぇ…