マンガばっかり

マンガ批評

入神


★★★
竹本健治による囲碁マンガ。
ミステリ作家として著名な竹本は、元々は漫画家志望で、「別マ」にマンガを持ち込んだこともあるというが、小説家として先にデビューしてしまったとのことで、本作は遅れてきたマンガ・デビュー作なのだという。
作者もあとがきに書いているように、絵はWEB(http://www013.upp.so-net.ne.jp/reiroukan/re/)で公開している若かりし日のマンガに比べても、たしかに20年のブランクを感じさせるものだと思う。
ただ、その設定や語り口はさすがに現役作家だけになかなかのもの。
本作を書いている途中で「ヒカルの碁」が始まったということからも、その先見性は評価できると思う。
しかし、作品の詰めの詰めになると、囲碁の何たるかなどを知らないマンガ読みには、どこがスゴイのかとんとわからぬものとなっており、その意味で、囲碁のイの字もわからぬままでも全巻を楽しめた「ヒカゴ」より、評価は低くならざるを得ない。