マンガばっかり

マンガ批評

アンラッキーヤングメン


★★★
藤原カムイ画・大塚英志原作による1960年代の青春を描いた本。
N、T、M等々とイニシャルで書かれているけれど、永田則夫、北野タケシ、三島由紀夫
そこに中上健次やら永田洋子やらも出てきて、三億円事件も出てきて、まことにてんこ盛りで結構なのだけれど、帯に「ぜーんぶ“脚本”さ。」とあるように、なんともウソくさくて、終始、引き込まれることのない作品であった。
登場人物をイニシャルにしているのはモデルとなった本人のプライバシーを考慮しているのかも知れないが、「レッド」でもそうだったように、妙に奥歯に物の挟まったような描き方なのはよくなかったと思う。
むしろ潔くフィクションにして、「史実」と一致させない方が、逆にリアリティも増したのではないかと思う。
また、「ぜーんぶフェイクだ」とでも言わんばかりの「上から目線」も鼻につき、1960年代の青春を小馬鹿にし、現代の若者をも小馬鹿にしている感じで、それも妙に腹立たしく思った。