マンガばっかり

マンガ批評

本屋の森のあかり


★★★★
磯谷有紀が本屋を舞台にして古今東西の名作をからめてストーリーが展開したマンガ。
キャラが立ちすぎているのが、古典派としてはひっかかるところだけれど、まぁ、それには目をつぶるとしても、ちょっと美しく麗しく本の世界が描かれすぎじゃないか、という気がする。
本を読むことを仕事にしている人間としては、世の中にはすばらしい本がたくさんある喜びと同じくらいに、くだらない本が腐るほどあることに対して怒っているのだから…
名作を辿りながら新しい作品に仕立てているマンガとしては、手塚治虫の「七色いんこ」があったけれど、あそこまではいってない。
金魚屋古書店」レベルかな…
若い書き手の人たちにも、もうちょっと名作の世界に入り込んでほしいのだ。
もう一つ言えば、久世番子の描く本屋さんが、あまりにも現実密着でホンネすぎるとすれば、たしかにこういうPOPやディスプレイで勝負する本屋さんの話もあっていいとは思うけれど、そういうのはほんのここ数年の話じゃないかという気がする。
その意味でも、心から声援は送りたいにしても、やはりちょっと減点かなぁ〜