マンガばっかり

マンガ批評

凹村戦争


★★
西島大介のSFマンガ。
『SFが読みたい』で2005年の「ベストSF」になったそうだけれど、あまりいいとは思えなかった。
岡崎京子の影響を随所に感じる手法、思想、画面構成であったが、岡崎が進めたところから、退行してしまっているという印象を受けた。
というのも、凹村という世界と切り離された世界を舞台にし、SFというこの世的な束縛から自由な世界を表現媒体として選び、デフォルメした画風によって現実的ななまなましさを逃れたりしていると思えたからだ。
マルクス主義のようないわゆる「世界」と呼ばれるようなものに目を向けようとせず、そうした現実にふれないことによって獲得できた自由さでもって<セカイ>を論じてしまう傾向… つまり、<セカイ系>のマンガなのだと思った。
作者は、小さな<セカイ>を守ることが、いつしか「世界」を守るヒーローやらヒロインになってしまう<セカイ系>を批判する意図で、テキトーを持ち出し、正義の味方を登場させていなかったようにも思うのだけれど、もしこの思想を表現しようと思うのなら、東京のど真ん中の学校を舞台にして、自分の家族や友人がどんどん死んだり殺したり… ということを日常にしながらも、自分のプライベート世界のことばかりを気にしているような主人公を描くべきだったのである。
ただ、今の日本には、そこまで「世界」の出来事に対して冷静で、プライベートを優先できるほどにアッパレな人間は、良くも悪くも住んでいないと思うし、虚構世界ではあっても、これを説得力のある筆致で描くことはできないと思う。
でも、それって喜ぶべきことなんじゃないか…?