マンガばっかり

マンガ批評

GIANT KILLING


★★★★★
綱本将也原作・ツジトモ作画によるサッカー漫画。
弱小チーム「ETU(イースト・トーキョー・ユナイテッド)」の監督を引き受けた達海猛が、選手やフロントたちと共に少しずつ這い上がっていこうとする物語。
サッカー漫画といえば「キャプテン翼」に「ファンタジスタ」…
日本では野球漫画の占める位置が大きすぎたというのはともかくとしても、「野球かサッカーか」といわれるほどの人気スポーツにしては、サッカー漫画の位置が寂しすぎるのは事実だと思う。
そんな中で、「あぁ、いい感じになってるなぁ」と思えたのが本作である。
Jリーグの試合というのは一度行ったことがあるだけなのだが、おそらくこんな風な感じなんだろうなと思えるリアリティが窺える。
監督の達海が天才なのは確かだろうが、かといって連勝に連勝を重ねるようには描かれていない。
チームも或る時はまとまり、しかし、全てを帳消しにしてくれるようなスーパーヒーローも登場しない。
ただただ細かい努力が、細かい成長が作中で登場し、そこがサッカーの試合を見ているような、サポーターとしてETUを支えているような心地よい興奮を感じながら読み進めることができた。
中途半端な作品だという批判もあるかもしれないが、そこがスーパーヒーローなき時代のスポーツマンガとしては、実は正当なスタンスなのではないかという風にも思える。