マンガばっかり

マンガ批評

渋谷区円山町


★★★★★
おかざき真理による連作マンガ。
現在、三冊の単行本が出ているというが、最もよいと思ったのは、最初に読んだ「渋谷区円山町」(これが最初の作品集。他に「桜」「浪人吾郎」がある)。
渋谷区円山町といえば、東京在住者ならみんな知ってるラブホ街。
ただ、新宿などと違って、ファッショナブルな若者たちが跋扈するシブヤと至近距離にあって、ちょっと道を間違えたらこの中に入り込んでしまうようなところである(間違えたフリしてここに入り込んだ人も何万人といるんだろうな…)。
本作では、この円山町のラブホテル近辺でおこった恋物語をオムニバス形式で描いているのだが、「いかにも」な感じがせず、どの作も円山町のラブホが必然的に登場しているように読めるのがよいと思う。
大ヒット漫画とは言えないし、それほどにおかざきの名も知れ渡っているとも思えないが、今日の少女マンガ(という言い方がふさわしいかどうか解らないが)を充実させている貴重な人材のうちの1人だと思う。