マンガばっかり

マンガ批評

風の谷のナウシカ


★★★★
宮崎駿のマンガ。
アニメ版ではありません。
本作を読んで感心したのは宮崎駿の妄想力である。
ストーリー自体は、2010年の今になってみると古い感じだし、マンガのタッチや手法も、手塚漫画で育った旧世代のものにしか思えない。
しかし、トルメキアの王女がいて、森の人がいて、念話で言葉を交わし、人類による自然破壊があって… と、盛り込みすぎるくらいの情報を盛り込んでおり、ガンダムなみの精緻さと妄想でストーリーを作っていることに驚嘆した。
こういう妄想が生まれたということが、比較するのは不謹慎かもしれないが、オウムの世界戦略と同じくらいの妄想力だったと思う。
まぁ、それを思えば、近年の宮崎の鈍さはちょっと気の毒なぐらいで、要するに宮崎という人は今までのアニメ人生の中で蓄えてきたものを、ナウシカとトトロで発散し、あとは誰かの原作に味付けしたり、幼少年時代の思い付きを長編化させるだけであったのだと思う。
イマドキの人であれば、ナウシカを4部作くらいにして延命を図るのだけれど…