マンガばっかり

マンガ批評

HER


★★★★
ヤマシタトモコによるオムニバス作品。
このマンガがすごい! 2011』のオンナ編第1位となったということで、早速、読んでみた。
ヤマシタトモコは、昨年『Love,Hate,Love』が12位に入っていて、それを読んだ記憶があるのだが、女性向けマンガの新しい才能として注目していた。
しかし、1位なのかとなると、ちょっと「へ?!」と思う。
やさしいだけでも、かわいいだけでも、恋がなけりゃ生きていけないというわけでもない平成の女子の心情をうまく描いているとは思うものの、持続的な感情移入がしにくいオムニバスものであることなどから考えても、著者がインタビューで「正気かっ!?」と突っ込みたくなった気持ちがよく理解できる。
そう思って、オンナ編のベストテンにランキングされている作品を見てみると、『海月姫』『ちはやふる』『大奥』『潔く柔く』『君に届け』『町でうわさの天狗の子』と、まぁまぁ、わかるけれども、どれも1位というのはピンと来ないような作品である。
そう思えば、オンナ漫画不調の年だったのだなということにもなるかもしれない。
ところで、誤解のないように言っておけば、2010年はオトコ漫画の方が相対的に好調であったということにはなるのだが、そこにはヤマザキマリ荒川弘森薫羽海野チカといった女性作家たちの支えがあったわけであり、今年を制したのは、やはり「オンナによるオトコ漫画」だったのだということになるのだと思う。