マンガばっかり

マンガ批評

進撃の巨人


★★★★★
諌山創によるホラー、もといリアル漫画!
どう贔屓目に見ても絵は拙いと思う。
しかし巨人の襲撃から人類を守るために作った50mの壁から顔を出してしまうという「想定外」の大きさの巨人が現れ、「もう…駄目なんだ… この街は…もう」と言わせてしまうというのは、あまりにも今日の原発をめぐる国難に一致しており、震撼とさせられるのである。
何も諌山が預言者だというわけではないだろう。
得体の知れない使徒なる存在から狙われる恐怖を描いたアニメなども過去にはたくさんあったからだ。
しかし、本作と同じく、近年、話題となっている「アイアムアヒーロー」を含め、平和ボケした日本が、精神面ではいつも「最後の戦い」のことを考えていたということに、そしてこれが「このマンガがすごい! 2011 オトコ編」の第1位であったことなどにも、今更ながら驚かされるのである。
リアル社会の日本では、有能な若手の東電社員や若手官僚がボスの協力を得ながら「敵」に立ち向かうというような話は、今のところ全く聞いていないのだが、「壁の中」に住む一市民としては、命を投げ出して戦いを挑む人々に、明日の人類の生き延びる道を切り開いて行って欲しいとただただ願うばかりである。