マンガばっかり

マンガ批評

なる☆まん!  もし出版不況のなか女子高生がマンガ家をめざしたら


★★★★
山野車輪によるビジネスとしてのマンガ入門。
サブタイトルにどこかで聞いたようなものが入っていることからもわかるとおり、女子高生らしき人たちの登場するマンガという体裁を一応は取っているが、学研の学習マンガのようなものだ。
書いてあることは、基本的にそのとおりだと思うが、『嫌韓流』に対する読後感の「?」と似て、やはり「?」の部分が残った。
例えば、マンガが長編になることが新人の参入を阻み、マンガを衰退させていると言うのだが、全くハズレではないけれど、アタリではないと思う。
長編マンガが多くなったのは、マンガ家や出版社の馴れ合いの部分もたしかにあるだろうけれど、それ以上に読者というのがもっといいかげんで堕落した存在だということを忘れてもらっては困る!
わけのわからん新人のマンガよりも、いつもどおりの「ゴルゴ13」や「こち亀」の方が安心して楽しめるのだ。
「バカ読者が多すぎる!」と言うかもしれないが、読者というのは身銭を切って楽しむためにマンガを読むのであって、マンガ文化のために、マンガ家になりたくて故郷を捨てて上京したかわいそうなマンガ青年のために読んでいるのではない!
それに編集者だって、おもしろくなくなったマンガは切っているのだし(基本的には…)、雑誌の数も「巨人の星」などの時代に比べれば明らかに増えており、同人やWEBからデビューすることもできるわけなので、一つの問題ではあるかもしれないが、あくまでいくつもある問題のうちの一つにしか過ぎない。
にしても、一つのマンガ学入門として、こういうのもありかなぁとは思った。