マンガばっかり

マンガ批評

アオハライド


★★★★★
咲坂伊緒による「ど」がつくような少女マンガ。
少女マンガにはもう飽き飽きしたという声は、もう何十年も前から聞いているが、人間が恋愛というものと絶縁してしまわないかぎり、恋愛への憧れや、恐怖、etc.はついてまわる。
素朴な少女マンガを卒業した「上級生」たちは、やおいに走ったり、肉体関係が出てきたり、イジメがでてきたり… の上級生向けマンガをよめばいい。
しかし、いつだって初心者がいるということは忘れてはいけない!
初心者に向けて、変に斜に構えたり、邪道から攻めてみたりする必要はない。
正々堂々と王道の少女マンガを描けばよいのだ!
そしてこれは初心者たちに、気持ちよく恋愛のむずかしさと素晴らしさを語りかけた好作品になっており、そのどストレートさは、見ていてまったく心地よいほどである。
思えば「君に届け」などは、初級編でありながらも十分に上級生が楽しむこともできたヒット作だと思うが、アオハライド(青春にrideする)と名付けられたこの作品は、上級生にはいささか歯がゆいだけのものに見えるかもしれないにしても、現代の風俗や若者たちの心理を取り入れながら、無理せずにのびのびと描かれていて好感がもてた。
(No.693)