マンガばっかり

マンガ批評

クレープを二度食えば


★★★
とり・みきによるSF作品集。
あとがきが「もうほんとうにすみませんすみません」で書き始めていることからもわかるとおり、いろいろな意味で作者にとって「すみません」な作品集のようである。
ギャグ漫画家としての自己意識が強いというのに、ここに集められたものは青春ぽいものばかりで、しかも、古いものでは1983年の作品もあるからだろう。
オンタイムでデビュー当時を知っている私としては、かなり懐かしい絵柄で、個人的に楽しめた。
しかし、なんと言っても表題作「クレープを二度食えば」が収録されていることが本書の売りであろう。
これは涼宮ハルヒに登場する文芸部員・長門有希のセレクトした100冊に入っているとのことで、それが今回の出版に繋がったようだ。
作者・谷川流の力だろう!
しかし、私には画風もがらりと変えた「転校生」の続編ともいうべき「もうひとつの転校生」「望楼」が、一番心に残った。
(No.716)