マンガばっかり

マンガ批評

ちくたくぼんぼん


★★
勝田文「コーラス」に連載していた昭和初期を舞台にした「ロマンチック・コメディ」。
流行に左右されず、好きなものを描こうという作者の思いは尊重したいと思う。
しかし、そもそもの設定に無理があるのではないだろうか?
主人公のイワは、東京にいるおばの元に女中として奉公している… というのだが、実の「おば」のところに女中奉公というのはおかしくないか?
「行儀見習い」ということならあるかもしれないが、ここにまず引っかかる。
明るいイワの性格からおばにも好かれ、イワはおばを「たわ子」と呼び捨てにする。
うん、まぁいいことにしよう。
しかし、おばのたわ子の息子には、徹底して嫌われ、イジメぬかれ(実は恋心を抱いているようなのだが)、給料をもらっているのだからきちんと家事をしろと蹴り飛ばされる…
ん、ちょっと待て。
息子・都一というのはイトコだろ?
こうした人間関係が絶対にないとは言えないにしても、きわめて不自然ではないだろうか?
些末なことにこだわるな、と言われるかもしれないが、ストーリーの方もこの調子で、盤石な構造の上に打ち立てられたストーリーという感じではない。
時代設定もあやふやな気がする。
(No.719)