マンガばっかり

マンガ批評

うみべの女の子


★★★
浅野いにおによる海辺の街の14歳男女の物語。
自意識過剰と性欲などなどの入り混じった中を生き抜く痛い感じがアリアリと描かれているが、止むにやまれない感じでドロドロとした世界に入り込んでいるという気がしない。
いかにもそういうことがありそうな人を選んで、いかにもそういうことをしそうだからといってストーリーを進めている感じがして、実際は、もっと躊躇したり、見栄を張ったり、友達ゴッコめいたことを真剣に言ってみたりするのではないだろうか?
押見修造だと、そういうカッコ悪いところについてもきちんと描いている気がするけれど、浅野はそういうあたりをスルーしているのでクールに見えて、そのあたりがウケている気がする。
もちろん安易に絆だの繋がりだのというJ-POP的な感性で完結しようとしない感性については評価したいし、応援したいのだけれど、厨二的世界をわかりやすい見取り図で描いてしまっていることは、別の意味でJ-POP的な単純化がなされているような気がして、ケータイ小説に通じるものを感じてしまった。
(No.813)