マンガばっかり

マンガ批評

澄江堂主人


★★★★
山川直人芥川龍之介をモデルに描いたマンガ。
かなり芥川に忠実に、しかし、外すべきところはとことんはずしながら描いていると思った。
デフォルメしすぎた絵は好き嫌いがハッキリと別れるような気がするが、単なるヘタウマではなく、背景にまで神経の行き届いたアートだなと思う。
もちろん内容に関しても、なかなか勉強しているなぁと思わされる。
しかし、その一方で「だから?」という気がしないでもない。
芥川という精神のあり方を描きたかったのか、パロディなのか、その時代への偏愛なのか、あるいは、「こんな風に絵をかいちゃうよ」という意志だけが前面に出てしまったのか… そのあたりの曖昧さが、あと星を1つつけることを躊躇わせるのである。
(No.816)