マンガばっかり

マンガ批評

この音とまれ!


★★★★
アミューによる高校箏曲部を舞台にした物語。
廃部寸前の箏曲部をまかされた気弱な部長・倉田武蔵の元に札付きの不良・久遠愛(ちか)が訪ね、やがてそこに琴の名門・鳳月家の跡取り娘・鳳月 さとわ(実は破門)が加わる。
琴をテーマにどういう方向に進むのかと思ってハラハラしながら読んだが、巻が進むと、熱血バトル漫画のノリになり、謎の美少女の乱入やら性格の悪そうな顧問、ライバル校の人間たち… と、いかにもな敵、いかにもな悪、いかにもな善、いかにもな読者サービス等々が並びすぎて、琴に向き合う真剣さといったものが読み取りにくくなっている気がした。
大金持ち、大不良、御令嬢、大美人が登場するのは別に構わないのだが、それだけで終りにせず、丁寧に描きこんでほしいと思う。
マンガは、誰が何と言ってもエンターテイメントなのであり、読者サービスは欠かせないにしても、それ以上のもの、それを超える何者かがなければ、ただ消費されるだけのものになってしまう気がする。
連載が少しでも長く続けば、それはそれで漫画家の勝利かもしれないが、短期的な目標だけでなく、長く読み継がれるような漫画を目指してほしいと思った。
(No.828)