マンガばっかり

マンガ批評

重版出来


★★★★★
松田奈緒子による編集者マンガ。
柔道少女が出版社の漫画担当編集者になって、もちまえの体育会パワーで仕事をしていくという好日的な内容。
「こんなんで仕事がうまくいけば誰も苦労しないわ!」という声も、おそらく関係業界からはあがっているのだろうけれど、それでいいと思う。
一世を風靡したスポ根マンガだって、天性の才能があったり、魔球を生み出したりしてはなはだしく非現実的だったのだが、マンガというのは面白いことがまず第一!
さすがにスポ根だけでは食傷するということもあって、その後はラブコメが栄えた時代もあったのだが、ついには文系スポ根マンガこそ、今の日本に マッチしたジャンルなのではないかとも思うのである(マンガ家マンガも流行りましたね)。
この他にもブレイクしそうな文系ジャンルはまだまだゴマンとある気がする。
たとえば、前々から、大学教員マンガの原作なら書けるかなぁ、などと思っているのだが、というのも、大学というのは研究と教育だけでなく、学生募集のためのいろいろ、昇進や採用をめぐるあれこれ、学生の就活、教員同士のライバル関係、恋愛もあるだろうし、学生との恋愛やら不倫やらセクハラやらもネタになると思うからだ。
うーん、はっきりいってこれほどにおいしい職業はないと思うのだが…
ともあれ、うまくできすぎている感はあったにせよ、「重版出来」は、職業紹介マンガとしてはもちろん、他の業界の人にとっても参考になるビジネ ス・マンガであったように思う。
(No.861)