マンガばっかり

マンガ批評

アルスラーン戦記


★★★★★
荒川弘田中芳樹のファンタジーをマンガ化したもの。
鋼の錬金術師」で魔法っぽいものを描いた荒川だが、ここでは超現実的手段も使わずに、いかにもどこかの国で起ったような出来事を描いており、なかなかいいと思う。
自分の武力をたのみ過ぎていたために崩壊した王国の御曹司アルスラーンは心優しき、およそ武力とはかかわりのないような存在。
しかし、それだからこそ人の信頼を得て新しい国を作っていこうとする物語… であるように思えた。
登場人物もキャラっぽいところはあるが、そこは近年のキャラ漫画とは違って自省的。
田中芳樹という人の小説を読んだことはないのだが、小説というものの伝統(お約束)が、いい面に作用してこのような作品が生まれたのだと思う。
なんでも新しいもの、人気のあるものばかりが良いというわけではないのだよ。
(No.862)