マンガばっかり

マンガ批評

亜人


★★★★★
桜井画門によるホラー・サスペンス漫画。
死ぬことのない人間。本人が亜人かどうかは、死ぬような事故・病気に遭ってからでなくてはわからないのだという。
人間たちは、この亜人を探し出し迫害し、あわよくば人間自身の不老不死へのヒントを探し出そうと人体実験をする…
こういう設定の恐怖マンガは基本的に好きじゃないのだが、これはなかなかいいマンガであった。
何度も書くとおり、この世の小説もマンガも、人間を描くことを目標としないものはない!
ロボットであっても、動物であっても、SFであっても、魔法ファンタジーであっても、人間世界のアナロジーを描くためにあるのだと思う。
もしかしたら人間世界のアナロジーとは全く違うものもありうるのかもしれないが、もし、そういうものがあったとしても、それはそれで「人間世界とは全く違う世界がある」ということが最大の売りになるはずであり、それは人間世界の真逆の意味でのアナロジー作品になるのだと思う。
亜人は、こんなことあるわけねぇよ、という世界観のもとに描かれているが、もし、こんなことがあったとしたら、と考えれば、いかにもそれっぽい人間世界のドラマになっている。もちろんここに登場するような厚すぎる友情やら、キレキレの政府高官などという存在は、マンガだからこその登場人物ではあろうが、それにしても人間世界のネタが思いつかないからと言って中途半端にSFやらファンタジーの世界に逃げ込んだようなマンガでないことだけは確かである。
(No.885)