マンガばっかり

マンガ批評

Honey Bitter


★★★★
小花美穂がクッキーに連載していた漫画。
産休や腱鞘炎によって休載しながら、今はWEBで連載を続けているらしい。
他人の心を読むことのできる珠里が、探偵会社を経営している叔母の元で働くという物語。
かつてDVにより、珠里は男性不信に陥っているが、人の心を読むという能力を気味悪がることのない好青年・陽太に惹かれることから、だんだん自分に自信ももち、男性不信からも立ち直っていく。
が、問題は、かつての交際相手で珠里にDVをした吏己が、同じ事務所で働いていることだった!
さすが『こどものおもちゃ』の小花だけに、うまい設定をしたものだと思う。
次々と大小さまざまな事件に立ち向かうストーリーがありながら、珠里の揺れる心を描いて飽きさせない。
恋愛マンガに飽きた少女(いや、クッキーに連載していることから若い女性というべきだろう)に、少年マンガ的なスペクタクルの要素を付け加えている。
そして、主人公は、最近はもうデフォルトとなった美人!

ところで、読み進むにつれて、これは新しい少女漫画というよりも、魔女っ娘マンガなのではないか、と思えてきた。
正義に立ち向かいながら、恋もして、腕力ではなくて魔法(相手の心を読む!)で戦う少女だ。
かつて戦う少女は、男装する必要があったのだが、セーラームーン以降、少女たちは「メイクアップ」によって戦うことになった。
しかし、そこで筋肉隆々とした男に立ち向かうというのは、どうしたって、絵的に言っても不自然である。
主人公を吉田沙保里にしてしまっては、やはり読者はついてこない。
細くて華奢な女子じゃなくてはならない。
そうなれば、主人公は魔法使いになるしかないのだ。
あるいはリン・ミンメイのように歌を武器にするか…
(No.928)