マンガばっかり

マンガ批評

ゴールデンゴールド


★★★★★
堀尾省太が『刻々』の次に送る怪作。
どうみても小さなおっさんとしか思えない「福の神」が現代の瀬戸内の島に出現し、突然に「福」が呼び込まれることによる悲喜劇。
2巻までしか読んでいないので全体的な考察はできないもののおもしろい。
あり得ない、バカバカしい話だと言てしまえばそれまでだが、リアリティのある展開になっている。
堀尾の話の作り込み、語り方がうまいのだと思う。
テレビや映画というのは、こういうバカみたいな作品を作ろうと思ってもスポンサーの意向やら出演者の所属プロダクションやらの様々な思惑や資金ぐりが障壁となって、結局、どこかで見たことのあるようなラブストーリーか既に漫画かラノベあたりでヒットしたものの焼き直ししかできないようになってしまっている。
基本的に紙とペンとトーンとがあればなんとかなる漫画というのは、きわめてエコロジカルにしてマニュアルな存在で、こういうデジタルな時代だからこそ生き抜いていけるメディアなのではないか、などと思ったりする。
(No.965)