マンガばっかり

マンガ批評

透明なゆりかご


★★★★★
沖田×華(おきたばっか)による実体験マンガ。
看護科在学中の高校3年の時にはじめた産婦人科での経験をもとにして描いたのだという。
すべてが実話なのかどうかはわからないが、ずいぶんいろいろなものを見て、経験してきた人なのだなと思う。
富山県魚津市出身とのことで、何度も訪ねたことのある身としては他人のようにも思えないのだが、そうか、あの街で、こんなことが平気な顔をして起こっていたのだなぁ、としみじみ思う。
ところどころのエピソードには、作者自身がひどくいじめられた経験を持ち、アスペルガー症候群、多動性障害、学習障害ももち、自分と同じような誰にも相手にされない子とも、不思議な関係を持っていたのだという。
マンガへの評価なのか、一人の人間の経験に対するインパクトなのか判断ができないが、とにかくフツウな顔をして生きている人たちが、あまりフツウとは思えないような一面を持ちながら生きているのだなということがしみじみとわかる傑作であった。
(No.974)