マンガばっかり

マンガ批評

月と指先の間


★★★★★
稚野鳥子による漫画家マンガ。
漫画家マンガには名作が多いと言われているが、自分もそう思う。
作家と実生活などと古いテーマを持ち出したいわけではないのだが、漫画家の実体を知っているだけに、どれだけ虚構化してあるにせよ絵空事を描いていないための迫力があるからではないかと思う。
55歳の少女漫画家・御堂アンは、どんな気持ちで結婚もせずに30年間も少女マンガを描きつづけてきたのか。
もう恋愛にもドキドキする年ではないのだが、ドキドキする恋愛マンガを描きつづけるというのはどういうことなのか…
そうした実存的な悩みを抱えながら彼女は生きている。
原稿料の話やら出版不況の話などもリアルに織り込みながら、元の担当者と長く続く不倫関係、年下の編集長との新しい関係なども添えながら、これまでのどの漫画家マンガとも違う独自の道を進んでいる。
アマゾンのレビューなんかは怖くて見られない、なんて書いてあったが、それもご本人の思いなのだろう(ブログでは『クローバー』に高評価付けてました!)。
いろいろな思いを込めて、とにかく頑張ってほしいマンガ!
(No.975)