マンガばっかり

マンガ批評

あさひなぐ


★★★★★
こざき亜衣による薙刀マンガ。
乃木坂が映画に出るということで、はいはい、また女子高生ゆるゆる薙刀マンガか… と思っていたが、25巻まで一気読みをして、これはそうとうなもんだなと思った。
スピリッツ連載という男性向けなのだが、そこにはエロもなければ、妙な読者サービスもなく、ほんとうにガチにスポ根女子マンガなのだ。
そして、なんといってもすごいのは、女子のイヤなところもバンバン描いているところ。
世の中の女性たちは、男の子社会の友情・努力・勝利に憧れてジャンプの王道マンガにうつつをぬかし、女子同士の見栄の張り合い・意地の張り合い・キャットファイトには、心底から愛想をつかしている。
しかし、あさひなぐでは、主人公の東島旭でさえ、単なる友情がんばり娘に描いていない。
同じ学校の友人を相手にしても、勝ちたい、とほざくし、殴ったり殴られたりもする。
「本当に相手のことを思って殴る」というのでもなく、「どうしてもゆるせないので殴る」などという生々しいことがあったりするのである。
それは現役運動部員の娘を見ていても思うのだが、彼女らは別に仲が悪いわけではもちろんなくて、いつも一緒にいることはいるのだが、次のメンバーに選ばれるのは自分であるに違いないと信じて疑わず、もしも自分以外が選ばれようものなら、相手に対する誹謗中傷、そしてオーダー発表の際に自分の名前が呼ばれないと、校内のどこかに消えて泣きとおすのだとか…
そういう女子のいやぁな部分、でも、そういうもんだよな、女子って! と、褒めてやりたい気にもなるマンガであり、これはスポーツ漫画史上に残る作品なのではないか、という気がする。
もちろんマンガなので、いつもいつもケンカばかりではないし、基本は友情だ!
とにかく非常に頑張っている漫画だと思う。
(No.1019)