マンガばっかり

マンガ批評

ロッタレイン


★★
松本剛の作品。
帯には新海誠東村アキコが大絶賛しているコメントが載っており、そうか、キミたちが言うのなら… と思って読んでみたのだが、まったくもって褒める気になれない漫画であった。
職場では上司によるパワハラ(さらにその男に恋人を盗られている)からバス事故を起こしてしまう30男が、家を捨てて別のオンナと再婚した父親と同居し始めるというのが物語の背景。
で、その父親の元には、オンナの連れ子である13歳の美少女がいた…
まぁ、そういうこともあるかもしれないのだが、30男の目の前で、13歳の義妹は裸体をさらしたり、セーラー服を脱いで洗濯機にぶちこんだりするのだが、まぁ、そういうことが絶対にないとは断言できないものの、きわめて強引にポルノグラフィックな展開にしている感じで、まるで入り込めない。
はじめは30男を拒んでいた義妹も、だんだん義兄と接近して… というのも、なんだか非常に強引な感じである。
そして、この30男が、気弱な部分もありながら、義妹に近づく同級生をいきなり殴りつけたりするメンヘラ暴力男で、この男が、酒に酔って思わず義妹とキスしてしまいそうになる… などというあたりも、なんだか全く同情できないし、感情移入できない。
主人公が根拠なく美少女に好かれるというエロゲ的な展開自体は、まぁ、基本的にマンガというのはエンターテイメントなのだから、あってもいいとは思うのだが、この30男は単に我儘だったり暴力的だったりで、まるで共感できないのだ。
そんな義兄と接近していく妹に対しても、「どうせその程度のやつだろ、勝手にくっつきたきゃくっつけよ」という感じで、まるでドキドキもワクワクもしないのであった…
(No.1022)