マンガばっかり

マンガ批評

神様はじめました

★★★★

鈴木ジュリエッタによる人気作。
女子高生が神様になってしまうというラブコメ王道もの(とでもいうべきか)。
これだけ書くと、男性向けか女性向けか分からないのだが、神様になった女子高生が神使である妖怪(?)と難題解決しているうちに、この神使、すなわちイケメンにして有力で、炊事洗濯まで上手だという狐の化身・巴衛と、人間と妖の違いを超えて結婚する… という話。
そんなに美人でも、そんなに有力でもないが、友達思いで、強い者に対しても立ち向かっていく精神力で、主人公・桃園奈々生は人気を博し、愛される存在になっていくのだが、その中で、究極の愛を巴衛と実現しようというあたりが人気の理由なのだろう。
白泉社系は、あまり好きではないのだが、がんばって全巻を読み終えた。
乙女ゲーム的な逆ハーレム感、そして王道バトルもののハラハラ感が持ち味だが、この乙女感とジャンプ感の一致こそが、現代の少女たちの心をつかむのだろう。
もっとも少女マンガの読者が下降しているのは確かで、本作が連載された「花とゆめ」はともかく、「花とゆめ別冊」の方は、先ごろ休刊となってしまった。
逃げるは恥だが役に立つ』という少女マンガ発のドラマ、また「おっさんずラブ」という腐女子趣味を生かしたドラマのヒットもあり、ブームの火付け役には女性の存在があるというのは確かなことなのだが、そのくらいのヒット作が「花ゆめ」からも生まれないことには存続も難しい気がする(そもそも男女ともに受けた「花ゆめ」発のマンガはあったか?)。
苦手だといいながら、応援しなきゃいけないくらいの状況であり、まことになんとも困った状況である。

(No.1083)