マンガばっかり

マンガ批評

鬼滅の刃

★★★★

吾峠呼世晴によるジャンプ連載中の王道もの。
人間を食べて生きるという鬼に対して、なんとか対抗し、人間世界を守ろうとする人たちの物語。
主人公の竈門炭治郎は家族を鬼に食い殺され、復讐の念に燃える。
おもしろいのは、鬼にやられながらもなんとか命を取り留めていた妹・禰豆子を守り、人間をおそわないように竹でできた口枷をくわえさせ、木箱にしまって炭治郎が行動することである。
なんとか禰豆子を人間に戻したい、しかし、鬼の持つ力が発揮され、炭治郎たちを守ることもあり、人間と鬼の違いがどこにあるのかを探るためのよい資料ともなっている… というあたりが物語に深みを与えている。
この存在がなければ、ただ、バトルのレベルが少しずつ上がっていくというだけの典型的王道バトルにしかならなかったと思う。
しかし、鬼殺隊の面々、柱の面々、また鬼の側の容貌や技などがあまりに個性的にして、人間を超え、化物を超え、人間を基準として読み解くものとしてのフィクションの能力を突破しすぎているきらいがある。
どんな必殺技を使ってもいいし、手足を切り落とされても再生するというような設定を使ってもいいのだが、あまりにも人間のレベルを超えすぎてしまう能力は、どんどんインフレ化し、そして早くにマンネリ化してしまうのではないかと心配である。

(No.1084)