マンガばっかり

マンガ批評

ぼくの地球を守って

★★★

日渡早紀の名作。
しかし、これも苦手な白泉社ということで、家にずっと置きっぱなしだったもの。
途中で辞めていたものを、がんばって読み通した。
文庫にて全12巻。
2週間ほどかかってようやく読み終えた。
よくできているな、と思うところはもちろんある。
しかしファンタジーの臭み、というか、非現実的なのに現実的なあたりに、どうにも違和感を感じしてしまうのである。
本作は輪廻転生で地球人としてよみがえった異星人7人が、ザックリいえば、叶えられなかった思いを次の世で叶えようとしたり、阻止しようとしたり… という話である。
まぁ、そういうこともあるかもなぁと思って、ファンタジー脳に頭を切り替えて読んでみるのだが、異星人たちの世界が、あまりにも現代日本人と似すぎていて、作品世界に入り込めない。
かの星にも、やはり男と女がいて、なぜか日本語のような名前がついているのも、まぁ、いいことにしよう。
ただ、彼らが使っているコンピュータが、あまりにも地球のものと似すぎているし、宇宙船から地球のテレビドラマを見て、「あぁ、どこもおんなじねぇ」などと言っていたりというのを見ると、ドラマがいくら深刻さを増していたとしても、失笑を禁じ得ない。
日本と地球上のどこか別の国よりも、生活感覚が近いのではないかと思わされるのである。
もちろん何万光年も向こうまでふくめて星を探せば、その無量大数無量大数乗したような数の星々の中に、こういう生物が住んでいる星も一つくらいはあるのかもしれないが、あまりにも親しみやす過ぎて、どうしても入り込めない。
もしも明治時代の日本人の生まれ変わりだったら、もっと違和感があっただろうに、というのに、この想像力のなさ、というか想像力の自由さ加減に、ほとほと疲れきってしまう。
そのご都合主義は、「いやいや、こんなどこからみてもダメな男に、そんなにほいほいと絶世の美女が愛を告白するはずないだろ」というようなエロ漫画とほぼ同じレベルではないか、と思わされてしまうのである。
80年代には、このマンガを真似た前世の友人さがしの情報が「ムー」を席巻していたのだとか…

(No.1088)