マンガばっかり

マンガ批評

ブルーピリオド

★★★★★

山口つばさによる美大生マンガ。
このマンガがすごい!」で4位になった作品。
作者も芸大の卒業生なのだという。
そういえば美大生が出てくる漫画はあったが、ここまで絵とは何か、美大になぜ通うのか、どういうものが「いい絵」なのか、ということを描いた作品はなかった。
まぁ、東村アキコの『かくかくしかじか』が美大受験ものだったが、人生や恋愛の方に主があって、肝心の美術の方は、おそらくマニアックすぎるだろうということからかあまり重点が置かれていなかった。
しかし、これはスゴイ。
美大受験生が、こんなふうに悩み苦しんでいるのかは分からないが、たしかに東大よりも難関の芸大を受験するということは、それだけたいへんなことなんだろうと思う。
なんだ美術かよ、趣味かよ、と、軽く(あるいは重く?)いなされてしまうためか、あまり問われたことがないけれど、本当にまるっきりの盲点なのだが、美大受験マンガというのは、今まで見たことがなかった気がする。
東大を受ける受験生、というのならばたくさんあったのに…
そして、なんといっても、その中身が単なる珍しさではなくて、あぁ、そうかもなぁ、と思わせる所。
いつも思うけれど、研究者マンガというのも、絶対におもしろくなると思うんだよね。

(No.1100)