マンガばっかり

マンガ批評

アクタージュ

★★★★

宇佐崎しろ、がジャンプに連載している演劇マンガ。
スポーツだけじゃない、文科系だってマンガは描けるはずだ、とは常々思っていたことだが、ジャンプもやりましたね。
とにかく他でもない大衆漫画誌において連載をしていることが尊いことだと思う。
1巻は、構図も絵も、お世辞にもうまいとは思えない感じで、ストーリー展開やキャラクターも、なんだか不自然さばかりが目についたが、2巻、3巻とどんどんうまくなり、物語にも入り込めるように進化していた。
主人公の女優の卵・夜凪景のように…
夜凪が、天才的な少女でありながら、役に入り込みすぎて周りが見えなくなる、という、この両極を含んでいるところがいいと思う。
古くは巨人の星星飛雄馬が、球は速いし、コントロールもいいのだが、球が軽くてホームランを打ちこまれやすい… という欠点から、あれこれチャレンジしていたのにも通じるところがある。
囲碁でも将棋でもそうだが、マンガになって、にわかファンであろうと浅薄なファンだろうと、とにかく注目してくれる人が増えれば、そのジャンルに真の天才が出現するきっかけにもなるだろうし、マンガ自体も、新しいジャンルができて売れるのであれば、こんなにいい話はない!

しかしまぁ、ジャンプ本誌を改めて眺めてみれば、ワンピースとハイキューはあるものの、この雑誌の為に1週間を待つという人は、ほんとに少なくなってるだろうな、と思う。
それはジャンプの編集部や漫画家が怠慢だということではなく、エンターテイメントのあり方、メディアのあり方… といったものが180度、というか720度くらい変わってしまったからじゃないかと思う。

(No.1109)