マンガばっかり

マンガ批評

邦画プレゼン女子 邦キチ! 映子さん


★★★★★

服部昇大による邦画をネタにしたマンガ。
6代目『日ペンの美子ちゃん』の作者でもある服部のオリジナルで、一時代前の少女マンガっぽい絵柄でぐいぐい攻める作風。
本作は、タイトルからも分かる通り、邦画が大好きな邦吉映子さんが洋画大好きの部長・小谷洋一の「映画について語る若人の部」に入ってくることから始まるプレゼン合戦のマンガ。
邦画といえば、小津だの黒沢だの、というあたりが出てきそうだが、映子ちゃんの勧める14作の日本映画のうち、見たことがあるのは一本もない!
見ようと思ったものもないし、存在を知っていたものも、まぁ、2~3本というところだ… つまりB級だったりC級だったり、日本文化だのアカデミー賞だのというのとは全く別の世界に属する映画ばかりを映子ちゃんは推薦するのである。
ディスる、というのではなく、うん、そうか、たしかにそういう目で見たら面白いかも、すごいかも、と、思わず膝を乗り出してしまうようなのがおもしろい、そしてアッパレだと思う。
ただの名作映画大好きではダメだし、B級やC級をこき下ろすのでも駄目。
B級やC級って、単純にBだのCだのと言って終わってしまうようなものじゃないよ、というメッセージが最高に面白く、また説得力もあった!
淀川長治は、どんな映画からも必ず一つはいいところを見つけて褒めた、と蓮実重彦は書いていたけれど、そんな感じかな。
(No.1225)