マンガばっかり

マンガ批評

神は細部に宿るのよ

★★★★★

久世番子のエッセイ漫画。
自らをファッションの下流にいる者としながら、ファッションについて語るという漫画。
下流だったら下流らしく生きろよ、というかもしれないが、しかし、どうせならいいカッコくらいはしたいと思うのは人間として当然だし、自分はどうでもよくても社会の中で生きて行けば、パーティにも呼ばれるし、冠婚葬祭にも関わることになり、そうなると、いつもの服を、自分の着たいように着る、などというゴーイングマイ・ウェイ的な生き方はできないのであり、そういう一歩引いた所からのファッショントークとして、非常に共感をもちながら読めてしまった。
って、私に女装趣味があるとかそういうことではないのだが、たとえばワードローブについて、プロ野球のローテーションと同列に語るセンスなど、なかなかのもの。
プロ野球と同じく、どうしたってローテーションには谷間もできるし…
シャツについているボタン。
あぁ、便利だな、助かるな、と思いながら、そうやって取っておいたボタンを、いままで付けたためしはない、という指摘。
うんうん、たしかにシャツについて来たボタンのコレクションが数十個くらいあるのだが、どのシャツのボタンがどれだったのか覚えているわけもなく、ボタンが取れたシャツに限って、控えボタンがついてないやつだったりするのである!
ファストファッションのレベルが、一流ブランドと、もうあまりかわらないようなレベルにまで到達してしまった現在、米澤泉先生も、ファッションの時代は終わったというくらいな時代であるからこそ、こうしたファッションの「次」のマンガが、なんとも時代に似合っている気がするのである…

(No.1139)