マンガばっかり

マンガ批評

賭けグルイ

★★★

河本ほむら尚村透によるギャンブル漫画。
アニメだけでなく、実写映画もあるという人気作品らしい。
11巻まで読んだ。
直前に『アカギ』を読んだこともあって、ギャンブル漫画を連続して読んだが、どちらも面白いとは思うものの、やはりちょっとな、と思ってしまう。
ここには人間が描かれていない、リアルな学校とは違い過ぎている、などと、超リアリズム的な立場から批判したいわけではない。
コナン少年の身の周りであれだけ殺人事件が起こるっていうのは、コナン少年の存在自体が事件なんじゃないか、というような… そんなことを言うつもりはない。
ギャンブルの強さとは洞察力や心理戦の強さであり、そしてツキなのだとは思うのだが、例えば『アカギ』で、ギリギリの状態で勝負を続ける鷲津と赤木が、かたや国士無双が配牌の段階でテンパイ、そして対する赤木も配牌の段階で清一色テンパイというようなことは、絶対に起りえないとは言わないまでも、確率としては、おそらく何億分の一と何億分の一であり、それが同時に起るのだから、無量大数分の一くらいの確率なのではないかと思う(数学できません)。
マンガなら、もちろんどんなウソだって描けるので、何を書いたって自由なのだが、それにしても非現実的過ぎて、しらけてしまう。
この『賭けグルイ』においても、ポーカーでJとQのフルハウスが、ギリギリの勝負の段階で、さらっとできるなどということは、何十億分の一とは言わないにしても、数百分の一の確率だろう。
こういうあたり、もう少し現実的に、8のワンペアと4のスリーカードくらいで描いてこそリアルなんじゃないだろうか。
イカサマを見破る洞察力については、名探偵ものののようで見事だとは思うが、心理戦で必ず勝つ、というのは、これもまたリアルとは言い難い…
そのあたりのリアリティがあれば、もう少し熱中できたかと思う。

(No.1142)