マンガばっかり

マンガ批評

性別「モナリザ」の君へ。

★★

吉村旋によるネット発のマンガ。
まぁ、いかにもSNSやらで話題にはなりそうだな、と思う。
子供時代には男とも女とも意識していないが第二次性徴の頃に、明確に男か女かに分かれていく。
その際に、どちらにもいかない存在がおり、今なお男女のどちらになるとも決めかねていない「ひなせ」が主人公。
男と女との幼馴染がおり、なんとその幼馴染が同時にひなせに愛を告白。
そして男になってくれ/女になってくれ、と頼むという展開。
白黒画面ではなく、ところどころに水色を使う演出なども、いかにも今ドキっぽく、厨2っぽい作りだと思う。
それがおもしろくないことはないのだが、自分にはこれを面白がって読む気にはなれなかった。
LGBTという言葉がとにかくあちこちで聞かれるようになったが、自分がLなのかGなのかBなのかTなのか、と、時には思いつめて死を考えるくらいの人がいるという中で、エンターテイメントとしてLGBTや、それに似たような設定で男女のどちらかに決めろというようなマンガには、あまり乗れないのである。
人種ネタの漫才も、まぁ、見たい人はご自由にどうぞ、という気はするものの、まったく面白い気持ちにならないし、哀しくなるだけなのと似ている気がする。
WEBマンガというのについても、いくつか読んではみたが、もちろんただ媒体が違うだけではあるのだが、絵がうまくなかったり、アイディアはあっても実際の社会的常識や知識を踏まえていないのではないか、と思われる部分もあって、心底から感動ができない。
これが主流になっていくのだ、ということはもちろんわかってはいるが…

(No.1146)